法令・制度解説

フロン機器を廃棄するときの管理者の手順|書類・引渡し・保存を整理

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

フロン機器を廃棄するときは、冷媒フロン類を引き渡す手続と、機器そのものを引き渡す手続を分けて確認します。機器、管理者、書類の確認順を整理します。

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律は、2020年4月1日に廃棄時の引渡し等に関する仕組みが整備されました。以下は同法第41条から第45条の2と施行規則を基にした確認順です(e-Gov法令本文、確認日2026-09-20)。

廃棄前に確認する対象

廃棄手続の入口は、処分予定の機器が第一種特定製品に当たるかを確かめることです。第一種特定製品は、業務用として製造されたエアコンディショナー、冷蔵機器または冷凍機器で、冷媒としてフロン類が充塡されているものを指します。

第一種特定製品かを確認する

業務用冷凍空調機器の銘板と廃棄前の確認項目を示す図
業務用冷凍空調機器の銘板と廃棄前の確認項目を示す図

家庭用か業務用かは、置かれている場所ではなく機器の仕様で確認します。飲食店の厨房にある冷凍ストッカーや、事務所の天井カセットでも、銘板、取扱説明書、メーカーへの照会で業務用仕様と冷媒を確かめる必要があります。定格出力の確認方法は、業務用エアコンの定格出力の見方も参考になります。第一種特定製品の定義は、フロン排出抑制法第2条第3項に定められています(e-Gov法令本文、確認日2026-09-05)。

対象判定の基本は、フロン点検の義務と対象機器でも確認できます。

管理者が主語になる場面

管理者が機器情報と書類を確認する場面を示す手描き図
管理者が機器情報と書類を確認する場面を示す手描き図

管理者は原則として対象機器の所有者です。リースなどで保守・修繕の責務を所有者以外が書面で負う場合は、その者が管理者となることがあります(環境省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き 第3版」、確認日2026-09-05)。

廃棄の準備では、管理者が機器の所在、識別情報、冷媒に関する記録、依頼した相手を照合します。管理者として何を受け取り、何を残すかを軸に並べます。

冷媒を引き渡すまでの流れ

冷媒フロン類の引渡しは、機器を解体や資源利用へ渡す前に確認します。フロン排出抑制法第41条は、充塡されていないことを確認した場合を除き、廃棄等実施者がフロン類を充塡回収業者へ引き渡すことを定めています(e-Gov法令本文、確認日2026-09-20)。

回収依頼書と委託確認書の使い分け

回収依頼書と委託確認書を使い分ける流れを示す図
回収依頼書と委託確認書を使い分ける流れを示す図

管理者が自らフロン類を引き渡す場合は回収依頼書、引渡しを他者へ委託する場合は委託確認書を交付します。いずれも、交付した書類の写しを保存することが求められます。書類名だけを控えるのではなく、対象機器、交付日、依頼経路を結び付けておくと、引取証明書の到着確認にも使えます(同法第43条、確認日2026-09-05)。

冷媒が充塡されていないことの確認を受ける例外ルートでは、充塡回収業者が確認証明書を交付します。業者は写しを、廃棄等実施者は交付を受けた確認証明書を、交付日から3年間保存します(同法施行規則第27条の2、確認日2026-09-20)。

引取証明書の確認と保存

引取証明書を受け取り機器ごとに保管する管理者を示す図
引取証明書を受け取り機器ごとに保管する管理者を示す図

充塡回収業者がフロン類を引き取ると、引取証明書が交付または送付されます。回収依頼書または委託確認書の写しと、引取証明書は、管理者側で3年間保存する考え方です(フロン排出抑制法第43条第3項、第45条第3項、確認日2026-09-05)。機器ごとの点検整備記録簿にも、引取りまたは確認を行った年月日と相手方の情報を残す事項があります。

引取証明書が届かない場合は、回収依頼書または委託確認書を交付した日から30日以内、解体工事の契約に伴って委託確認書を交付した場合は90日以内という期間を確認します。期限内に交付・送付を受けない場合や、記載に問題がある場合は、都道府県知事への報告が定められています(同法第45条第4項、確認日2026-09-05)。

機器を引き渡すときの確認

冷媒の引渡しを確認した後も、機器そのものを解体や資源利用の目的で渡す段階には別の確認があります。引取証明書を受け取った時点だけで、機器の引渡しに関する確認が終わるわけではありません。

引取証明書の写しを確認する場面

機器と引取証明書の写しを引渡し先へ渡す流れを示す図
機器と引取証明書の写しを引渡し先へ渡す流れを示す図

管理者が機器を引取等実施者へ引き渡す場合、フロン排出抑制法第45条の2第1項により、引取証明書の写しを交付する仕組みがあります。引取等実施者が再委託や譲渡をする際には写しを回付する規定もあり、引取等実施者側の保存期間は3年又は回付を行うまでのいずれか短い期間です(同条第2項・第3項、同法施行規則第48条の5、確認日2026-09-20)。

例外の有無や引渡し先の関係は、実際の処分方法で変わり得ます。管理者は、機器を渡す相手、引取証明書の写し、確認証明書の有無を同じ案件として照合し、書類を交付する場面を事前に確認することが重要です。

工事の費用・業者選びは別の確認事項

解体工事を伴う場合、特定解体工事元請業者は第一種特定製品の設置の有無を確認し、発注者に書面を交付して説明します。発注者は確認に協力し、交付された書面を保存します(同法第42条、確認日2026-09-05)。

処分予定の機器が複数ある場合は、機器ごとに銘板情報、回収依頼書または委託確認書、引取証明書、引渡し先を対応させます。

管理者向け確認表

廃棄時には、冷媒と機器の流れを分けて確認します。

段階管理者の確認物保存・引渡しの確認点
対象判定銘板、機器情報、管理責任に関する契約第一種特定製品と管理者の該当性を確認する
冷媒の引渡し回収依頼書または委託確認書依頼経路と交付日を機器に結び付ける
引取りの確認引取証明書、必要に応じて確認証明書管理者側の保存対象と期間を確認する
機器の引渡し引取証明書の写し、引渡し先の情報法45条の2に関する写しの交付・回付を確認する

点検の区分と日常の確認事項は、簡易点検と定期点検の違いで確認できます。

確認の順序を社内でそろえる

機器ごとの案件票を作る

廃棄の準備では、機器ごとに管理番号、型式、設置場所、管理者、廃棄予定日を案件票へ記します。その上で、冷媒の引渡しに使う回収依頼書又は委託確認書、引取証明書、機器を引き渡す際の写しを同じ番号で並べます。複数台を同日に処分する場合にも、書類の対象機器を個別に確認できます。

日付と相手方を残す

書類を交付又は受領した日、相手方、確認した担当者を残すと、保存期間や未着の確認を進めやすくなります。冷媒の引取りと機器の引渡しを同じ日付で処理する場合も、それぞれの書類の役割を分けて記録します。

引渡し前の最終確認

機器を渡す前に、対象機器、冷媒の引取りに関する書類、機器の引渡し先を案件票で照合します。書類の写しを交付した日と相手方を残し、冷媒の引渡しと機器の引渡しを区別します。 書類の控えを保管した場所も案件票に残し、保存期間を確認できるようにします。

まとめ

フロン機器の廃棄では、第一種特定製品と管理者を確認し、冷媒の引渡し、引取証明書、機器を引き渡す際の写しの交付を順に整理します。法令の全体像や関連する手続は、フロン点検に関する法令解説から確認できます。

よくある質問

Q. 機器だけ先に処分できますか
機器を解体や資源利用の目的で引き渡す場面では、冷媒フロン類の引渡しに加え、引取証明書の写しを交付する仕組みを確認します。処分の順序や例外の適用は個別事情で変わるため、フロン排出抑制法第41条から第45条の2と所管窓口の案内を確認してください(e-Gov法令本文、確認日2026-09-20)。
Q. 回収を頼んだ後に残す書類は何ですか
回収依頼書または委託確認書の写し、引取証明書を機器と対応させて保存します。冷媒が充塡されていないことの確認を受けた場合は、廃棄等実施者が交付を受けた確認証明書も保存対象です(フロン排出抑制法第43条・第45条、同法施行規則第27条の2、確認日2026-09-20)。
Q. 解体工事では何を確認しますか
特定解体工事では、元請業者が第一種特定製品の設置の有無を確認し、発注者へ書面を交付して説明します。発注者は確認に協力し、書面を保存することとされています(フロン排出抑制法第42条、確認日2026-09-05)。
Q. 引取証明書を受け取れば手続は終わりですか
冷媒フロン類の引取りを示す引取証明書に加え、機器を引取等実施者へ渡す際は法45条の2の写しを交付する流れを確認します。冷媒の引渡しと機器の引渡しは別の確認事項であり、相手方や処分方法に応じた書類を照合します(e-Gov法令本文、確認日2026-09-20)。

出典

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