法令・制度解説

フロン機器を廃棄するときの書類保存|保存期間と整理の考え方

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

フロン機器を廃棄した後に残す書類は、すべて同じ保存期間ではありません。点検整備記録簿、回収依頼書又は委託確認書、引取証明書、確認証明書を、目的と起算日で分けて整理します。

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律第43条・第45条、施行規則第27条の2、管理者判断基準第四を基に、2020年4月1日施行の改正内容を含む取扱いを2026年9月20日に確認しました。

保存する書類を分ける理由

点検整備記録簿

点検整備記録簿を機器ごとに整理する手描き図
点検整備記録簿を機器ごとに整理する手描き図

点検整備記録簿は、日常の簡易点検、定期点検、整備、冷媒の充塡・回収などを機器ごとに確認する記録です。管理者判断基準第四では、記録簿を機器ごとに作成し、冷媒の充塡・回収の記録を含める考え方が示されています。廃棄書類と一緒に保管していても、何の記録かを区別します。

記録簿の保存は、冷媒フロン類の引渡しが完了した日から3年を経過する日までという考え方です。書類の交付日から数える書類とは起算が異なります。

回収依頼書・委託確認書

回収依頼書と委託確認書の写しを確認する図
回収依頼書と委託確認書の写しを確認する図

冷媒フロン類の引渡しを依頼した場合、回収依頼書又は委託確認書の写しを管理者側で保管します。これらは、誰がどの機器の冷媒を引き渡すよう依頼したかを確認する書類です。交付日、対象機器、依頼経路を引取証明書と対応させると、未着や記載内容の確認に役立ちます。

対象機器の範囲は、フロン点検の義務と対象機器で確認できます。廃棄の書類を整理する前に、銘板情報と管理番号をそろえます。

保存期間を確認する方法

引取証明書の確認

引取証明書と保存期限を照合する管理者の図
引取証明書と保存期限を照合する管理者の図

引取証明書は、充塡回収業者が冷媒フロン類を引き取ったことを示します。法第45条第3項に基づき、廃棄等実施者は引取証明書を3年間保存します。回収依頼書又は委託確認書の写しと同じ機器番号で管理し、どの書類が揃っているかを確認します。

機器そのものを解体業者やスクラップ業者へ引き渡すときは、法第45条の2第1項に基づき引取証明書の写しを交付します。写しの交付を受けた引取等実施者は、施行規則第48条の5により、3年又は法第45条の2第2項による回付を行うまでのいずれか短い期間で保存します。管理者が保存する引取証明書と、引渡し先が保存する写しは別の書類として整理します。この取扱いは2026年9月20日に確認しました。

証明書が届かない場合には、交付日から30日又は90日の確認期間が関係することがあります。保存期間と未着の確認期間を同じ期限として扱わず、書類の目的ごとに日付を分けて記録します。

起算日を混同しない

書類ごとに異なる起算日をカレンダーで示す図
書類ごとに異なる起算日をカレンダーで示す図

確認証明書は、廃棄等実施者が交付を受けた日から3年間保存する考え方です。点検整備記録簿は、冷媒の引渡しが完了した日を起点にします。引取証明書は、証明書の保存期間を確認します。同じ「3年」という表現でも、何を起点にするかで整理の仕方が変わります。

保存期限を一覧にするときは、書類名、対象機器、交付又は引渡しの完了日、保管場所を同じ表に記録します。期限だけを別管理すると、書類の目的を見失いやすくなります。

社内で整理する項目

機器ごとのひも付け

機器番号と保存書類をひも付ける一覧表の図
機器番号と保存書類をひも付ける一覧表の図

書類の保管では、機器ごとに管理番号、型式、設置場所、廃棄日、書類の種類、保存の起点を結び付けます。飲食店の厨房、バックヤード、事務所など複数の設置場所がある場合も、案件番号だけでなく機器番号で追えるようにします。廃棄後に照会があったとき、必要な書類を探す時間を短くできます。

定格出力の確認が必要な記録は、業務用エアコンの定格出力の見方も参照できます。書類の保存は、出力の判定とは別に機器単位で進めます。

紙と電子の保管を確認する

点検整備記録簿は紙又は電子の方法で作成できます。電子で保存する場合も、機器と書類の対応、保存期間の起点、閲覧できる保管場所を確認します。紙の原本と電子の写しが混在する場合には、どちらを正本として管理しているかを社内で明確にします。

書類別の保存確認表

書類何を確認するためか保存の考え方機器とのひも付け
点検整備記録簿点検・整備・冷媒の履歴冷媒の引渡し完了日から3年を経過する日まで管理番号、型式、記録日
回収依頼書又は委託確認書の写し引渡しの依頼経路引取証明書と対応させて保管交付日、依頼先
引取証明書冷媒の引取り3年間保存受領日、対象機器
確認証明書冷媒が充塡されていないことの確認交付日から3年間保存交付日、確認対象の機器

日常の点検記録については、簡易点検と定期点検の違いも確認してください。

保存書類を探せる状態にする

保管場所と検索方法を決める

書類を機器ごとに保管するときは、管理番号、型式、設置場所、廃棄案件番号を共通の検索項目にします。紙の書類は保管箱やファイル名、電子の書類は保存先やファイル名を記録します。拠点ごとに保管方法が異なる場合も、機器番号から回収依頼書、引取証明書、確認証明書、記録簿の所在を確認できるようにします。

保管期限を一覧にする際は、期限だけでなく起算となる日付を残します。交付日、受領日、冷媒の引渡しが完了した日を区別すると、同じ三年間という表現の書類を取り違えにくくなります。管理者が交代する際にも、保管の考え方を引き継ぎやすくなります。

年度ごとの点検記録と分ける

点検整備記録簿は、日常の点検や整備の履歴を確認する記録です。廃棄時の書類と同じファイルに置く場合でも、年度ごとの点検記録と廃棄案件の書類を見出しで分けます。記録簿を探す目的と、引取証明書を探す目的が異なるためです。

廃棄後に機器が売却へ変更されることは通常想定しにくいものの、引渡し先や管理責任の変更がある場合には、残す書類の範囲を確認します。書類の有無を台帳に記録し、処分後にも照合できる状態にします。

確認した根拠を案件票に残す

保存書類に関する確認を行った日には、対象機器の管理番号、型式、設置場所、確認した資料、確認した担当者を案件票に残します。点検整備記録簿、回収依頼書又は委託確認書、引取証明書、確認証明書を別々に保管する場合にも、同じ機器番号から保管場所を探せるようにします。口頭で確認した内容があるときは、確認先、確認日、確認した事項を記録し、推測で補った情報と区別します。

確認の結果が前回と異なる場合には、異なる理由を機器の変更、設置場所の変更、記録の追加、資料の更新などに分けて確認します。数値や書類の名称だけを更新するのではなく、どの資料に基づいて変更したかを残します。後から確認する担当者が、元の状態と変更後の状態を照合できるようにします。

管理責任や機器状態の変更を確認する

機器の廃棄、譲渡、管理者又は保管場所の変更がある場合には、管理者、保管する記録、確認の時点を見直します。現在の台帳だけでは過去の事実関係が分からなくなるため、変更前後の情報を消さずに履歴として残します。複数拠点の機器を扱う場合も、同じ名称の機器を設置場所と管理番号で区別します。

担当者の交代や組織変更があるときには、どの記録を誰が引き継ぐかを一覧で確認します。保管場所へのアクセス方法、紙の原本の所在、電子記録の確認方法を引継ぎ資料に記します。確認が済んでいない項目には、次に確認する資料や窓口を残します。

次の確認へつなぐ

保存期間の確認又は書類の照合を進める前に、機器情報、記録、確認結果に不足がないかを見直します。確認できない事項は類似機器の情報で置き換えず、型式、銘板、公式資料、所管窓口などの根拠を確認します。判断に使った条件を残すことで、同じ機器を次回確認するときの手掛かりになります。

定期的に案件票と機器台帳を見比べ、廃棄済み、譲渡済み、移設済みの機器が現在の一覧に残っていないかを確認します。記録の保管期間が異なる書類は、書類名と起算日を分けて管理します。 保存期限を過ぎた書類を確認するときも、対象機器と起算日を照合して確実に記録します。

まとめ

廃棄時の書類は、目的と起算日を分けて保存します。点検整備記録簿、引取証明書、確認証明書を機器ごとに照合し、制度全体は法令・制度解説で確認できます。

よくある質問

Q. 点検記録と引取証明書は同じ期間ですか
同じとは限りません。点検整備記録簿は冷媒の引渡し完了日を起点に確認し、引取証明書は法第45条第3項に基づく3年間の保存を確認します。
Q. 電子保存はできますか
点検整備記録簿は紙又は電子で作成できます。電子保存では、機器との対応、保存の起点、閲覧できる状態を確認します。
Q. 機器を売却したときはどうなりますか
売却・譲渡では、点検整備記録簿又はその写しを機器とともに引き渡す確認があります。廃棄時の引取証明書とは書類の目的が異なります。
Q. 書類を紛失した場合はどうしますか
保管場所、対象機器、残っている控えを確認します。欠落した書類の扱いは、個別事情に応じて所管窓口等へ確認してください。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.