フロン類算定漏えい量の報告|1,000トンCO2換算の考え方
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
フロン類算定漏えい量の報告でいう1,000トンは、冷媒そのものの重さではありません。整備時の記録から算定した漏えい量を、冷媒ごとの地球温暖化係数でCO2換算した量です。まずは対象機器と記録の範囲を整理します。
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律第19条から第21条、フロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令第2条から第4条を基に、2015年4月1日からの報告制度を2026年9月20日に確認しました。
算定漏えい量報告の全体像
管理者が確認する対象

報告の確認は、第一種特定製品を管理する者が、整備時の冷媒フロン類の充塡・回収記録を集めることから始まります。対象機器は、業務用として製造され、フロン類を冷媒に用いるエアコンディショナー、冷蔵機器、冷凍機器です。設置場所だけで対象を決めず、機器の仕様と管理責任を確認します。
対象機器の基本は、フロン点検の義務と対象機器で確認できます。小型の機器であっても、集計する制度上の範囲は定期点検の出力区分だけでは決まりません。
特定漏えい者という用語

算定漏えい量が年間1,000トンCO2以上となった者は、法令上「特定漏えい者」として報告に関する確認が必要になります。この値は一台の機器の基準ではなく、管理する第一種特定製品に関する記録を集計した結果で確認します。報告の主体や集計の範囲は、法人と事業所の関係も含めて整理します。
法第19条は、一定量以上の算定漏えい量を生じさせた者の報告を定めています。自社の数値が該当するかは、年度ごとの記録と制度上の集計単位を照合して判断します。
1,000トンCO2換算の意味
実重量と換算量の違い

整備時に確認するのは冷媒のkg単位の充塡量や回収量ですが、報告で見るのはCO2換算のトン単位です。実漏えい量は、整備時に充塡した量から、当該整備時に回収した量を差し引いて考えます。設置時に初めて充塡した量は、この算定から除く取扱いです。
実漏えい量に冷媒の地球温暖化係数を乗じ、kgからt-CO2へ単位を換算して算定漏えい量を確認します。冷媒の重さが1,000トンに達するかを比べる基準ではありません。
冷媒ごとの係数を自己判断しない

CO2換算では、冷媒の種類に応じた係数を使います。機器名や一般的な呼び方から係数を推測せず、整備記録、銘板、公式の算定資料に記載された冷媒の種類を確認します。複数種類の冷媒がある場合も、同じ係数でまとめず、種類ごとに記録を整理します。
定格出力を確認する資料は、業務用エアコンの定格出力の見方も参考になります。出力区分は点検頻度の材料であり、CO2換算では冷媒種類と記録の確認が中心です。
報告要否を確認する順序
記録を集める範囲

まず年度を区切り、各機器の整備記録から充塡量、回収量、冷媒の種類を集めます。次に、同じ年度の記録を冷媒種類ごとに整理し、算定の根拠を残します。機器が多い場合は、拠点別の一覧を作った後に全体の集計と照合すると、重複や漏れを確認しやすくなります。
点検時に残す記録の考え方は、簡易点検と定期点検の違いでも確認できます。報告の算定は、点検を行った回数そのものではなく、整備時の充塡・回収記録を基にします。
法人・事業所の整理
管理する機器が複数拠点にある場合、拠点単位の表だけで結論を急がず、報告制度上の主体と集計範囲を確認します。フランチャイズのように管理責任や事業形態が分かれる場合には、加盟店ごとの機器をどの主体の記録として扱うかも整理が必要です。個別の報告要否は、所管省庁の案内で確認します。
単位・対象・確認先の早見表
| 確認対象 | 単位 | 集計の単位 | 確認する資料 |
|---|---|---|---|
| 整備時の充塡量・回収量 | kg | 機器、冷媒種類、年度 | 点検整備記録簿、整備記録 |
| 実漏えい量 | kg | 冷媒種類ごと | 充塡量と回収量の差 |
| 算定漏えい量 | t-CO2 | 制度上の報告主体 | 係数を用いた算定資料 |
| 報告の要否 | 年間1,000トンCO2 | 法人・事業形態を確認 | 法令、命令、所管案内 |
集計の根拠を確認できる形にする
機器別の原票を先にそろえる
年度の集計表を作る前に、機器別の原票として、整備日、管理番号、冷媒種類、充塡量、回収量、作業の根拠となる記録をそろえます。店舗、事務所、工場、倉庫など設置場所が異なる場合には、拠点名を付けて同じ機器を重複して集計しないようにします。集計表の数字だけでなく、元になった記録の保管場所も確認します。
機器を年度の途中で追加、売却、廃棄した場合には、整備記録の日付と当時の管理関係を確認します。機器台帳に残る現在の状態だけで、前年度の記録を除外しないようにします。管理番号が変わった機器も、型式や設置場所を使って同一機器かを確認します。
冷媒種類ごとに確認する
実漏えい量をCO2換算する際には、冷媒の種類ごとに充塡量と回収量を整理します。同じ施設内の機器であっても、別の冷媒を使う場合には一つの係数でまとめません。銘板、整備記録、冷媒の記載がある資料を照合し、種類が不明な機器を推測で集計しないようにします。
係数の情報を確認した日と資料名を集計表に残すと、次年度に数字の根拠を見返しやすくなります。数値の変更があった場合には、変更前後の記録と理由を対応させて保管します。
集計の単位を最後に照合する
機器別、拠点別、冷媒種類別の表を作った後で、制度上の報告主体ごとの集計に進みます。特定の事業所に係る算定漏えい量が千トンCO2以上となる場合には、事業所ごとの事項も確認します。拠点ごとの合計だけで報告の結論を出さず、法人全体の管理関係を確認します。
集計の対象に含めた機器と除外した機器を一覧にすると、再計算が必要になった場合にも確認しやすくなります。年度末に新しい機器台帳を作るときも、前年度の原票との対応を残します。
確認した根拠を案件票に残す
算定漏えい量に関する確認を行った日には、対象機器の管理番号、型式、設置場所、確認した資料、確認した担当者を案件票に残します。整備時の充塡・回収記録、冷媒種類、CO2換算の集計表を別々に保管する場合にも、同じ機器番号から保管場所を探せるようにします。口頭で確認した内容があるときは、確認先、確認日、確認した事項を記録し、推測で補った情報と区別します。
確認の結果が前回と異なる場合には、異なる理由を機器の変更、設置場所の変更、記録の追加、資料の更新などに分けて確認します。数値や書類の名称だけを更新するのではなく、どの資料に基づいて変更したかを残します。後から確認する担当者が、元の状態と変更後の状態を照合できるようにします。
管理責任や機器状態の変更を確認する
機器の追加・廃棄、拠点の増減、管理責任の変更がある場合には、管理者、保管する記録、確認の時点を見直します。現在の台帳だけでは過去の事実関係が分からなくなるため、変更前後の情報を消さずに履歴として残します。複数拠点の機器を扱う場合も、同じ名称の機器を設置場所と管理番号で区別します。
担当者の交代や組織変更があるときには、どの記録を誰が引き継ぐかを一覧で確認します。保管場所へのアクセス方法、紙の原本の所在、電子記録の確認方法を引継ぎ資料に記します。確認が済んでいない項目には、次に確認する資料や窓口を残します。
次の確認へつなぐ
年度ごとの集計又は報告要否の確認を進める前に、機器情報、記録、確認結果に不足がないかを見直します。確認できない事項は類似機器の情報で置き換えず、型式、銘板、公式資料、所管窓口などの根拠を確認します。判断に使った条件を残すことで、同じ機器を次回確認するときの手掛かりになります。
定期的に案件票と機器台帳を見比べ、廃棄済み、譲渡済み、移設済みの機器が現在の一覧に残っていないかを確認します。記録の保管期間が異なる書類は、書類名と起算日を分けて管理します。
まとめ
1,000トンCO2は、冷媒の実重量ではなくCO2換算の算定漏えい量です。充塡・回収記録、冷媒種類、年度、集計主体を順に確認します。関連する制度は、法令・制度解説で確認できます。
よくある質問
- Q. 1,000トンは冷媒の重さですか
- いいえ。1,000トンCO2は、実漏えい量を冷媒ごとの係数でCO2換算した量です。冷媒そのものの重量と混同しないよう、kgとt-CO2を分けて記録します。
- Q. 小規模な機器だけなら算定不要ですか
- 機器の規模だけで結論を出すことはできません。第一種特定製品に関する整備記録を年度単位で集め、制度上の集計範囲を確認します。
- Q. どの記録から確認しますか
- 整備時の冷媒充塡量、回収量、冷媒の種類を確認します。設置時の初期充塡と整備時の充塡を区別して記録を集めます。
- Q. 報告先はどこですか
- 法第19条から第21条と命令第2条から第4条を確認し、所管省庁の案内に従います。対象となる事業形態や提出先は、個別の状況で確認してください。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.フロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令(laws.e-gov.go.jp)
- 3.環境省「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」(env.go.jp)