フロンの漏えい量報告の算定方法|充塡・回収の記録から確認する
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
フロン類算定漏えい量は、整備時に記録した充塡量と回収量を基に確認します。算定式だけを先に当てはめず、どの機器に、いつ、どの冷媒を、どれだけ充塡・回収したかを年度ごとに整理することが出発点です。
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律第19条から第21条、フロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令第2条を基に、2015年4月1日からの報告制度を2026年9月20日に確認しました。
算定に使う記録
整備時の充塡記録

算定に用いる充塡量は、機器の整備時に追加した冷媒フロン類の量です。新設又は設置の際に初めて充塡した量は、実漏えい量の計算から除く扱いです。整備記録には、作業日、機器の識別情報、冷媒の種類、充塡量、作業内容を対応させます。
機器の対象範囲は、フロン点検の義務と対象機器で確認できます。機器が多い場合には、店舗、事務所、工場などの設置場所を記録して重複計上を防ぎます。
整備時の回収記録

実漏えい量を確認するには、同じ整備時に回収した冷媒フロン類の量も必要です。充塡量から回収量を差し引くため、別の機器や別の日の回収記録を混ぜないようにします。回収量が記録にない場合は、数値を推測で埋めず、点検整備記録簿、整備報告、作業記録を確認します。
回収依頼書や引取証明書は廃棄時の引渡しに関する書類です。漏えい量の算定で使う整備時の回収量と、廃棄時の回収書類を同じ意味に扱わないようにします。
廃棄時の書類には、機器そのものを引き渡すときの手続も含まれます。法第45条の2第1項に基づく引取証明書の写しの交付は、漏えい量の算定とは別の確認事項です。この区分は2026年9月20日に確認しました。
算定の構造
実漏えい量の考え方

実漏えい量は、整備時に充塡した量から、同じ整備時に回収した量を差し引いて確認します。冷媒の種類が複数ある場合は、種類別に計算します。年度をまたぐ記録では、どの年度の整備に該当するかを先に確認し、対象期間外の記録を入れないようにします。
算定は機器ごとの記録から始めますが、報告の確認では制度上の主体ごとに集計します。機器別の原票と集計表を対応させることで、後から数値の根拠を確認できます。
CO2換算までの流れ

実漏えい量を確認した後、冷媒種類に対応する地球温暖化係数を用いてCO2換算量を算定します。kg単位の実漏えい量に係数を掛け、t-CO2に換算する順序です。係数は冷媒種類によって異なるため、機器名だけで同じ係数を使わず、銘板や整備記録を照合します。
定格出力の確認は、業務用エアコンの定格出力の見方が参考になります。出力の数値は定期点検の確認材料であり、CO2換算では冷媒の種類と量の記録が中心です。
集計前の確認
対象年度を分ける

記録を集める際は、対象年度の開始日と終了日を決め、整備日を基に振り分けます。複数拠点の記録を集める場合も、拠点ごとに年度をそろえてから集計します。点検記録だけでは充塡・回収量が分からないときは、整備に関する記録を追加して確認します。
日常の記録の残し方は、簡易点検と定期点検の違いも参照できます。算定用の表には、元の記録の保管場所を記しておくと照合しやすくなります。
個別の係数を推測しない
冷媒の種類、係数、年度の扱いに不明点があるときは、公式の算定資料を確認します。過去に使った係数や別機種の情報を流用せず、記録に示された冷媒で確認します。算定結果だけを残すのではなく、使った記録と計算の前提を保管します。
入力する記録と確認単位
| 記録の種類 | 確認する項目 | 集計の単位 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 整備時の充塡記録 | 作業日、冷媒種類、充塡量 | 機器、年度、冷媒種類 | 設置時の初期充塡を分ける |
| 整備時の回収記録 | 作業日、回収量 | 同じ整備作業 | 別機器の回収量と混ぜない |
| 機器情報 | 型式、管理番号、設置場所 | 機器ごと | 元記録と対応させる |
| 係数の確認資料 | 冷媒種類、係数 | 冷媒種類ごと | 推測で決めない |
算定表を作るときの確認
作業単位をそろえて入力する
充塡量と回収量は、同じ整備作業の記録として対応させます。充塡した日と回収した日が近いからといって、別機器や別作業の量を差し引かないようにします。整備報告に複数の作業が記載される場合は、機器番号、冷媒種類、作業日で分けて入力します。
設置時に初めて充塡した量は、整備時に追加した量と区別します。台帳に記録された総充塡量や機器の充塡量を、そのまま実漏えい量として使わないようにします。作業記録のどの欄を集計に使ったかを残します。
算定式の前後を見直す
実漏えい量の確認後には、kgの単位、冷媒種類、係数、t-CO2への換算の順序を見直します。単位が異なる数字を同じ列に入力すると、集計結果が大きく変わるおそれがあります。計算表には、単位を列見出しに示し、冷媒種類ごとに結果を確認します。
係数を使う際は、前年度の表をそのまま複製せず、対象年度に確認した公式資料と照合します。計算を複数人で確認する場合には、元記録、入力値、算定結果の三つを分けて確認すると差異を見つけやすくなります。
算定後の照合を行う
算定結果が大きく増減した場合には、機器の追加・廃棄、整備回数、冷媒種類、入力単位などを確認します。数値が小さいからといって記録の確認を省かず、すべての入力に元資料があるかを確認します。誤りが見つかった場合は、訂正日と理由を残します。
年度ごとの集計表を保管すると、翌年度に漏れや重複を確認する際に役立ちます。提出の要否を確認する段階では、算定値だけでなく、集計主体と提出先を別に確認します。
確認した根拠を案件票に残す
漏えい量の算定に関する確認を行った日には、対象機器の管理番号、型式、設置場所、確認した資料、確認した担当者を案件票に残します。機器別の整備記録、充塡量、回収量、冷媒種類、算定表を別々に保管する場合にも、同じ機器番号から保管場所を探せるようにします。口頭で確認した内容があるときは、確認先、確認日、確認した事項を記録し、推測で補った情報と区別します。
確認の結果が前回と異なる場合には、異なる理由を機器の変更、設置場所の変更、記録の追加、資料の更新などに分けて確認します。数値や書類の名称だけを更新するのではなく、どの資料に基づいて変更したかを残します。後から確認する担当者が、元の状態と変更後の状態を照合できるようにします。
管理責任や機器状態の変更を確認する
整備記録の追加、機器の変更、冷媒種類の確認結果の変更がある場合には、管理者、保管する記録、確認の時点を見直します。現在の台帳だけでは過去の事実関係が分からなくなるため、変更前後の情報を消さずに履歴として残します。複数拠点の機器を扱う場合も、同じ名称の機器を設置場所と管理番号で区別します。
担当者の交代や組織変更があるときには、どの記録を誰が引き継ぐかを一覧で確認します。保管場所へのアクセス方法、紙の原本の所在、電子記録の確認方法を引継ぎ資料に記します。確認が済んでいない項目には、次に確認する資料や窓口を残します。
次の確認へつなぐ
年度集計又は報告内容の確認を進める前に、機器情報、記録、確認結果に不足がないかを見直します。確認できない事項は類似機器の情報で置き換えず、型式、銘板、公式資料、所管窓口などの根拠を確認します。判断に使った条件を残すことで、同じ機器を次回確認するときの手掛かりになります。
定期的に案件票と機器台帳を見比べ、廃棄済み、譲渡済み、移設済みの機器が現在の一覧に残っていないかを確認します。記録の保管期間が異なる書類は、書類名と起算日を分けて管理します。
まとめ
漏えい量の算定は、整備時の充塡量と回収量を機器・年度・冷媒種類ごとに整理することから始まります。関連する制度は、法令・制度解説で確認できます。
よくある質問
- Q. 充塡量だけで算定できますか
- 整備時に充塡した量から同じ整備時に回収した量を差し引いて、実漏えい量を確認します。充塡量だけで結論を出さず、回収記録も照合します。
- Q. 設置時の充塡量は入りますか
- 新設又は設置時に初めて充塡した量は、実漏えい量の計算から除く取扱いです。整備時の充塡と区別して記録を確認します。
- Q. 記録が不足するときはどうしますか
- 点検整備記録簿、整備報告、機器情報の保管場所を確認します。不明な数値を推測で補わず、所管省庁の案内又は専門的な確認先に相談してください。
- Q. 計算しただけで報告は終わりますか
- 算定と提出は別の確認事項です。年間の算定漏えい量、報告主体、期限、提出先を法令と所管案内で確認します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.フロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令(laws.e-gov.go.jp)
- 3.環境省「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」(env.go.jp)