複数圧縮機のフロン点検|定格出力を確認するときの注意点
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
複数の圧縮機を持つ業務用冷凍空調機器では、銘板に書かれた一つの数値だけで定期点検の区分を決めません。冷媒系統、圧縮機の数、インバーターの有無、二元系などの構成を確認して、定格出力を整理します。
管理者判断基準別表2の備考と環境省の運用の手引きを基に、2026年9月20日に確認しました。管理者判断基準は2020年4月1日施行の改正内容を含みます。
複数圧縮機で確認する理由
単一圧縮機との違い

単一の圧縮機を持つ機器では、圧縮機を駆動する電動機又は内燃機関の定格出力を銘板で確認します。複数の圧縮機がある機器では、どの圧縮機が同じ冷媒系統に属するかによって確認の仕方が変わります。室外機が複数台ある、又は複数の冷凍機が並んでいるだけで、すべてを一つの機器として合計するわけではありません。
対象機器の基本は、フロン点検の義務と対象機器で確認できます。業務用仕様と冷媒がフロン類であるかも、最初に確認します。
冷媒系統を確認する意味

管理者判断基準別表2の備考では、二以上の電動機又は内燃機関により圧縮機を駆動する第一種特定製品は、当該原動機の定格出力の合計により区分を適用する考え方があります。運用の手引きでは、複数圧縮機の場合に冷媒系統が同じかを確認する考え方が示されています。
冷媒系統が別なら、別の機器として確認する場合があります。配管図、仕様書、機器台帳を照合し、見た目の近さや設置場所だけで同じ系統と判断しません。
定格出力を確認する手順
銘板の情報を控える

各圧縮機の銘板又は仕様書から、型式、圧縮機を駆動する電動機又は内燃機関の定格出力、冷媒、対応する冷媒系統を控えます。冷却能力、消費電力、呼称能力など、似た数値が並ぶ場合には、定格出力と取り違えないようにします。
定格出力の基本的な確認方法は、業務用エアコンの定格出力の見方も参照できます。銘板が読めない場合は、型式と構成を添えてメーカーに確認します。
合算に関する確認点

同じ冷媒系統に属する複数の圧縮機では、原動機の定格出力の合計で区分を確認します。エアコンディショナーなら、合計が7.5kW以上50kW未満で3年に1回以上、50kW以上で1年に1回以上の定期点検の区分です。冷蔵機器及び冷凍機器では、7.5kW以上で1年に1回以上の区分です。
合算する数値は、同じ系統かを確認したうえで整理します。複数台の機器が同じ施設にあることだけを理由に、一括で合計しません。
個別判断を保留する場面
インバーター製品

定格出力のないインバーター製品は、圧縮機の電動機の最大出力で確認する考え方があります。仕様書に複数の出力がある場合には、最大出力の根拠をメーカー資料で確認します。制御方式の名称だけから数値を推測せず、型式と圧縮機の情報をそろえます。
簡易点検は、第一種特定製品であれば3か月に1回以上の区分です。日常点検と定期点検の違いは、簡易点検と定期点検の違いで確認できます。
二元系などの機器
二元系冷凍機では、圧縮機の原動機の定格出力の高い方が7.5kW以上となるかで確認する考え方があります。複数圧縮機、インバーター、二元系が重なる場合には、銘板・仕様書・配管図を照合し、十分な知見を有する者へ確認します。
機器構成ごとの確認順
| 機器構成 | 確認する情報 | 自己判断を避ける場面 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 複数圧縮機 | 冷媒系統、各原動機の定格出力 | 系統の関係が不明 | 配管図、メーカー資料 |
| インバーター | 圧縮機電動機の最大出力 | 定格出力の表記がない | 仕様書、メーカー |
| 二元系冷凍機 | 原動機の定格出力 | どの出力を見るか不明 | メーカー、専門的な確認先 |
| 複数の室外機 | 機器ごとの系統 | 同一施設にあるだけの場合 | 機器台帳、仕様書 |
複数圧縮機の記録をそろえる方法
構成図と銘板を対応させる
複数圧縮機の機器では、機器台帳に圧縮機ごとの型式、原動機の定格出力、冷媒系統、対応する室内機又は冷凍機を記録します。配管図や仕様書がある場合には、どの圧縮機が同じ冷媒系統に属するかを明確にします。設備の設置場所が近いことだけでは、同じ系統とは限りません。
更新工事で圧縮機だけを交換した場合や、室外機を追加した場合には、台帳と銘板の情報を更新します。古い機器の出力を残したまま合計せず、現時点の構成と記録の対象期間を確認します。複数拠点の機器を一つの表で扱う場合にも、設置場所を分けます。
点検区分の根拠を残す
定期点検の区分を確認したときは、機器の種類、冷媒系統、各圧縮機の定格出力、合算の根拠、確認した資料を残します。インバーター製品では最大出力を見た理由、二元系冷凍機では高い方の出力を確認した理由も記録します。後から台帳を見る人が、どの数値を使ったか確認できるようにします。
定格出力を確認できない場合には、判断を保留した理由と、メーカーへ確認するためにそろえた型式・構成を記録します。類似機種の値を仮に使って点検予定を決めず、公式資料又はメーカーの回答を確認します。
機器の変更と廃棄を分ける
複数圧縮機の機器が更新された場合は、新しい構成を別の機器記録として整理します。古い圧縮機の整備記録や冷媒の充塡・回収記録を、新しい機器の履歴に混ぜないようにします。移設する場合も、移設前後の設置場所と管理責任を記録します。
廃棄では、点検整備記録簿の保存と、冷媒の引渡しに関する書類を対応させます。複数の圧縮機があっても、廃棄の対象機器と書類の範囲を確認します。
確認した根拠を案件票に残す
複数圧縮機の定格出力に関する確認を行った日には、対象機器の管理番号、型式、設置場所、確認した資料、確認した担当者を案件票に残します。圧縮機ごとの銘板、冷媒系統の資料、機器台帳、点検の記録を別々に保管する場合にも、同じ機器番号から保管場所を探せるようにします。口頭で確認した内容があるときは、確認先、確認日、確認した事項を記録し、推測で補った情報と区別します。
確認の結果が前回と異なる場合には、異なる理由を機器の変更、設置場所の変更、記録の追加、資料の更新などに分けて確認します。数値や書類の名称だけを更新するのではなく、どの資料に基づいて変更したかを残します。後から確認する担当者が、元の状態と変更後の状態を照合できるようにします。
管理責任や機器状態の変更を確認する
圧縮機の交換、室外機の追加、配管又は冷媒系統の変更がある場合には、管理者、保管する記録、確認の時点を見直します。現在の台帳だけでは過去の事実関係が分からなくなるため、変更前後の情報を消さずに履歴として残します。複数拠点の機器を扱う場合も、同じ名称の機器を設置場所と管理番号で区別します。
担当者の交代や組織変更があるときには、どの記録を誰が引き継ぐかを一覧で確認します。保管場所へのアクセス方法、紙の原本の所在、電子記録の確認方法を引継ぎ資料に記します。確認が済んでいない項目には、次に確認する資料や窓口を残します。
次の確認へつなぐ
点検区分又は記録簿の確認を進める前に、機器情報、記録、確認結果に不足がないかを見直します。確認できない事項は類似機器の情報で置き換えず、型式、銘板、公式資料、所管窓口などの根拠を確認します。判断に使った条件を残すことで、同じ機器を次回確認するときの手掛かりになります。
定期的に案件票と機器台帳を見比べ、廃棄済み、譲渡済み、移設済みの機器が現在の一覧に残っていないかを確認します。記録の保管期間が異なる書類は、書類名と起算日を分けて管理します。
まとめ
複数圧縮機の機器は、冷媒系統、各圧縮機の出力、機器方式を確認して定格出力を整理します。関連する確認例は、事例・ケースで確認できます。
よくある質問
- Q. 出力は合計しますか
- 同じ冷媒系統に属する複数の圧縮機では、定格出力の合計で区分を確認します。系統が別の場合は、機器ごとの構成を確認します。
- Q. 室外機が複数あるときはどうしますか
- 室外機の台数だけで合計しません。各室外機と圧縮機の冷媒系統、型式、配管構成を確認します。
- Q. インバーター製品はどう確認しますか
- 定格出力のないインバーター製品は、圧縮機電動機の最大出力で確認する考え方があります。メーカー資料で根拠を確認します。
- Q. 銘板の数値だけで決めてよいですか
- 銘板は重要な確認資料ですが、複数圧縮機では冷媒系統や機器方式も確認します。構成が不明なときは、仕様書や専門的な確認先を利用してください。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.環境省「第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項」(env.go.jp)
- 3.環境省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き 第3版」(env.go.jp)