法令・制度解説

特定漏えい者とは|フロン類算定漏えい量の報告対象を確認

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

特定漏えい者とは、フロン類算定漏えい量が年間1,000トンCO2以上である者です。機器一台ごとの冷媒の重さを比べる言葉ではなく、年度の整備記録を基にCO2換算で集計した結果に関する制度上の区分です。

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律第19条第1項と、フロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令第2条・第3条を基に、2015年4月1日からの報告制度を2026年9月20日に確認しました。

特定漏えい者の意味

年間1,000トンCO2以上の基準

年間の算定漏えい量と千トンCO2の基準を示す手描き図
年間の算定漏えい量と千トンCO2の基準を示す手描き図

命令第3条では、フロン類算定漏えい量が千トン以上である者を特定漏えい者としています。この千トンはCO2換算の単位です。冷媒フロン類の実漏えい量をkgで確認し、冷媒種類ごとの地球温暖化係数を用いてt-CO2に換算した後の量で判断します。

基準を確認する前に、管理する第一種特定製品の範囲を整理します。対象機器の基本は、フロン点検の義務と対象機器で確認できます。

一台ごとの基準ではない理由

複数機器の記録を年度単位で集計する図
複数機器の記録を年度単位で集計する図

特定漏えい者の判定は、特定の冷蔵ショーケースや室外機だけの数値で決めるものではありません。管理する機器の整備時の充塡・回収記録を年度単位で集め、冷媒種類ごとに算定した量を制度上の主体で集計します。拠点が複数ある場合には、店舗や工場ごとの表と全体の集計を照合します。

定期点検の対象かどうかを決める定格出力と、漏えい量の報告基準は別の考え方です。出力の確認は、業務用エアコンの定格出力の見方を参考にします。

報告対象を確認する順序

整備記録を機器ごとに集める

機器番号ごとに充塡量と回収量を集める図
機器番号ごとに充塡量と回収量を集める図

まず、対象年度に行った整備について、機器番号、作業日、冷媒の種類、充塡量、回収量を確認します。設置の際に初めて充塡した量は、実漏えい量の算定から除く取扱いです。同じ整備作業の充塡量と回収量を結び付け、別機器の記録が混ざらないようにします。

記録が拠点ごとや担当部署ごとに分かれている場合は、一覧に保管場所を記します。元の点検整備記録簿又は整備記録に戻れる状態にしておくと、後から数値を確認できます。

CO2換算と集計主体を確認する

冷媒種類ごとのCO2換算と集計主体を示す図
冷媒種類ごとのCO2換算と集計主体を示す図

実漏えい量に冷媒ごとの係数を乗じてCO2換算し、種類ごとの量を合計します。その後、誰を報告主体として集計するかを確認します。法人、事業所、連鎖化事業者などの関係によって、集計の前提を確認する必要があるため、台帳の合計だけで報告対象かを判断しません。

法第19条は、一定量以上の算定漏えい量を生じさせた者が事業所管大臣へ報告する仕組みを定めています。個別の事業形態への当てはめは、所管省庁の案内で確認します。

特定漏えい者となった場合に確認すること

報告の内容と期限

報告内容と七月末日の期限を確認する管理者の図
報告内容と七月末日の期限を確認する管理者の図

特定漏えい者に該当する場合は、前年度の算定漏えい量等を毎年度7月31日までに報告する期限を確認します。一の事業所に係る算定漏えい量が千トンCO2以上となる場合には、事業所ごとの事項も確認が必要です。報告書を作る前に、算定の根拠となった記録を照合します。

日常の点検記録の残し方は、簡易点検と定期点検の違いも参照できます。報告の対象を確認するためにも、整備時の情報を機器ごとに残します。

公表と開示の仕組み

法第20条では、環境大臣及び経済産業大臣が報告された事項を集計し、その結果を公表する仕組みを定めています。法第21条は、公表後の開示請求に関する規定です。個別の会社名や数値を推測するための制度ではなく、報告主体が根拠を確認して提出する仕組みとして理解します。

確認表

確認項目内容確認する資料
対象機器第一種特定製品の範囲銘板、機器台帳、点検整備記録簿
実漏えい量整備時の充塡量から回収量を控除整備記録
CO2換算冷媒種類ごとの係数を用いる算定資料、冷媒情報
特定漏えい者年間1,000トンCO2以上か年度別の集計表
提出事業所管大臣へ毎年度7月31日まで法令、所管案内

該当性を確認するときの記録

年度別の集計過程を残す

特定漏えい者に当たるかを確認するには、機器別の充塡量・回収量から、冷媒種類ごとの実漏えい量とCO2換算量へ進む過程を残します。最終的な合計だけでは、計算の前提が変わった場合に検証できません。機器台帳、点検整備記録簿、整備報告を同じ年度で対応させます。

集計担当が異なる拠点では、機器番号の付け方や冷媒の表記が違う場合があります。統一した一覧を作り、同じ機器が二つの拠点で計上されていないか、廃棄済みの機器が誤って含まれていないかを確認します。集計対象外とした機器についても理由を記録します。

一の事業所に関する確認を分ける

命令第4条には、一の事業所に係る算定漏えい量が千トンCO2以上である場合の事業所ごとの事項に関する規定があります。法人全体の集計と、拠点ごとの集計を同じ表で混ぜず、どの集計が何を示すかを見出しで分けます。拠点の統合、移転、閉鎖があった年度には、記録の引継ぎも確認します。

特定漏えい者の確認は、店舗の大きさや従業員数の判断ではありません。管理する第一種特定製品と整備時の記録を基に、CO2換算した数値を確認します。

公表制度との関係を確認する

法第20条では、環境大臣及び経済産業大臣が報告された事項を集計して公表する仕組みが定められています。管理者側では、公表の有無を判断するためではなく、自らの報告の根拠を確認するために、元記録と集計表を保管します。

法第21条の開示請求に関する仕組みもあるため、提出した数値と計算の前提を説明できる状態にしておくことが重要です。個別の会社や拠点の数値を推測する目的で情報を使わず、記録の正確性を確認します。

確認した根拠を案件票に残す

特定漏えい者に関する確認を行った日には、対象機器の管理番号、型式、設置場所、確認した資料、確認した担当者を案件票に残します。機器別の整備記録、CO2換算の集計表、報告主体を示す資料を別々に保管する場合にも、同じ機器番号から保管場所を探せるようにします。口頭で確認した内容があるときは、確認先、確認日、確認した事項を記録し、推測で補った情報と区別します。

確認の結果が前回と異なる場合には、異なる理由を機器の変更、設置場所の変更、記録の追加、資料の更新などに分けて確認します。数値や書類の名称だけを更新するのではなく、どの資料に基づいて変更したかを残します。後から確認する担当者が、元の状態と変更後の状態を照合できるようにします。

管理責任や機器状態の変更を確認する

機器の増減、拠点の統合、事業形態又は管理関係の変更がある場合には、管理者、保管する記録、確認の時点を見直します。現在の台帳だけでは過去の事実関係が分からなくなるため、変更前後の情報を消さずに履歴として残します。複数拠点の機器を扱う場合も、同じ名称の機器を設置場所と管理番号で区別します。

担当者の交代や組織変更があるときには、どの記録を誰が引き継ぐかを一覧で確認します。保管場所へのアクセス方法、紙の原本の所在、電子記録の確認方法を引継ぎ資料に記します。確認が済んでいない項目には、次に確認する資料や窓口を残します。

次の確認へつなぐ

年間の算定漏えい量と報告の確認を進める前に、機器情報、記録、確認結果に不足がないかを見直します。確認できない事項は類似機器の情報で置き換えず、型式、銘板、公式資料、所管窓口などの根拠を確認します。判断に使った条件を残すことで、同じ機器を次回確認するときの手掛かりになります。

定期的に案件票と機器台帳を見比べ、廃棄済み、譲渡済み、移設済みの機器が現在の一覧に残っていないかを確認します。記録の保管期間が異なる書類は、書類名と起算日を分けて管理します。

まとめ

特定漏えい者は、年間1,000トンCO2以上の算定漏えい量に関する区分です。機器別の記録からCO2換算を行い、報告主体と期限を確認します。関連制度は、法令・制度解説にまとめています。

よくある質問

Q. 特定漏えい者は機器一台ごとに決まりますか
機器一台ごとではありません。年度の整備記録を基に算定した量を、制度上の報告主体で集計して確認します。
Q. 1,000トンは冷媒の重量ですか
いいえ。実漏えい量に冷媒ごとの係数を乗じたCO2換算量です。kgの実重量とt-CO2を分けて記録します。
Q. 小さな事業所だけなら関係ありませんか
事業所の規模だけで結論を出すことはできません。機器の管理関係、報告主体、年度の算定漏えい量を確認します。
Q. 報告対象か判断できないときはどうしますか
整備記録、冷媒種類、係数、集計主体を確認します。不明な前提を推測せず、所管省庁の案内で確認してください。

出典

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